シェアエコサービスが重視する指標
シェアエコサービスはECサイト
シェアエコサービスには、AirbnbやUber、メルカリといったCtoCサービスからスペースマーケットのようなBtoCからBtoBサービスまで様々な形態がありますが、僕はどのビジネス形態を持つシェアエコも根本的にはECサイトと同じだなと思っています。
ですので、基本的にはECサイトと似たようなKPIに基づいて運営をしていくのが良いのではないかと考えています。
メルカリのようにブーストがかかった後の事業フェーズで重視する指標が何かはよくわかってないのですが、根本的には一緒では?と思います。
シェアエコやECサイトは、プラットフォームですので売り手と買い手のマッチングビジネスとなるのですが、初期の立ち上げにおいて売り手から集めるのか、買い手から集めるのか、のニワトリと卵の問題にぶつかります。
そして、このバランスを適切に保ちながらマーケットを育てていくことになります。
プラットフォームのニワトリと卵の問題
シェアエコにかぎらずAmazonのようなECサイトにおいてもプラットフォームサービスをするとき、売り手を先に集めるのか、買い手を先に集めるのか、ということがよく議論されます。
例えば、Airbnbでは家を貸す人は借りてくれる旅行者がいなければ登録をしてくれませんし、旅行者も物件情報がなければ当然サイトに来てすぐに帰ってしまいます。
結論としては売り手を先に集めることが王道になるのですが、売り手を集めすぎても、買い手がいなければ不満を持って離れてしまうので、両者のバランスを考えることが重要です。
ただ、個人的にはTABICAの事例を見ていても、売り手の数に対して買い手はほぼ相関する動きをするので、正直このバランス感についてはそこまで意識しすぎなくてよいのかなと考えています。
Amazonのビジネスサイクル図
創業者のジェフ・ベゾスがレストランの紙ナプキンに描いたとされるAmazonのビジネスサイクル図があります。
この図では、商品を増やせば、顧客体験が改善し、トラフィックが増える。トラフィックが増えると、売り手が集まってきて、商品数が増える。商品数が増えると顧客体験が改善するというグロースサイクルが回り、この正のサイクルが回れば商品価格も下がり、顧客体験は更に改善するということを書かれています。
売り手の増加は、買い手の増加に繋がり、買い手の増加は売り手の増加に繋がります。
この関係性からも分かる通り、プラットフォームの成長曲線は線形ではなくて2次曲線を描くことが分かるかと思います。
UberのOKRs
Uberが初期の立ち上げ時に重視していた指標についてはこちらの記事に書かれています。
UberもAmazonと同じような指標を重視していることがわかります。
ドライバーが増えればカバーエリアが拡大し、エリア拡大がピックアップ時間を縮めてトラフィックの増加に繋がる。トラフィックの増加は、ドライバーの増加につながるというサイクルを生み出します。また、このサイクルが回ることでドライバーのダウンタイムが短くなって価格の減少に繋がり、トラフィックの増加を加速します。
また、おもしろいことに下記に書かれているとおり、Uberの初期のOKRsでは
- ドライバーの増加
- エリア拡大
- ドライバーの満足度
といった指標を追いかけており、乗車する人のトラフィック量や乗車する人の満足度といった指標は出てきていません。
Objective: Increase Drivers in System
Increase driver base in each region by 20%
Increase driver average session to 26 hours / weekly in all active regions
Objective: Increase Geographic Coverage of Drivers
Increase coverage of SF to 100%
Increase coverage for all active cities to 75%
Decrease pickup time to < 10 mins in any coverage area during peak hours of usage
Objective: Increase Driver Happiness
Define and measure driver happiness score
Increase driver happiness score to 75th percentile
もちろん、乗車する人のことを無視しているということではないと思いますが、やはりドライバーの獲得が難しく、ドライバーさえ集めることができれば乗車する人は結果的に満足するということをわかっていたのではないでしょうか。
シェアエコサービスのKPI
上でも述べてきた通り、シェアエコサービスもECサービスも根本的には変わらず、要するにプラットフォームサービスとしては売り手の増加が正のサイクルの起爆剤となります。
プラットフォームの売上はトラフィックの増加によってもたらされるのでどうしてもトランザクション数を見て、それを生み出す買い手についてを気にしてしまいがちですが、それは最終的な結果に過ぎず、起爆剤は売り手側にあります。
従って、売り手の満足度や売り手の前月対比の増加率と言った指標を見ていくのが良いのだろうと思います。
もし、地域性の高いサービスを運営している場合は、どれだけ売り手が増えても買い手は購入できないということになりますので、Uberのようにエリアの拡大率というのも重要な指標になってくるんだろうと思います。